建設業許可の要件である経営業務の管理責任者も専任技術者のどちらも、営業所に常勤することが求められています。「常勤」とは、原則として勤務しない日を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事していることをいいます。そのため、複数の会社に所属し、いずれも常勤であるという状態は認められません。
常勤であることの証明や確認の方法はいくつかあります。
健康保険が建設業許可を申請する建設業を営む者で適用されているか?役員報酬が常勤に相応した金額であるか?住所と営業所の所在が毎日通勤できる距離であるか?など、許可行政庁によって確認方法は異なりますが、いずれの場合も「常勤」であれば証明することが難しいものではありません。
専任技術者は、建設業を営む営業所ごとに配置しなければなりません。そのため本店(主たる営業所)以外にも複数の支店(従たる営業所)等がある建設業者の場合、専任技術者が、営業所ごと許可業種ごとに何名も必要となります。
また、専任技術者は配置された営業所において専任でなければなりません。例えば、本店の専任技術者となった場合、支店の専任技術者を兼ねることはできません。専任技術者はどの営業所に配置されているのか許可行政庁のデータベースで管理されています。配置された営業所が変更になる場合には、建設業法で定められた変更の手続きが必要となります。
では、経営業務の管理責任者と専任技術者になれる人はいるのでしょうか?
まず、経営業務の管理責任者になる人は役員(個人の場合は本人または支配人)であることが求められています。一方、専任技術者は、その営業所に常勤で一定の資格や実務経験があれば、役員でも従業員でもなることができます。つまり専任技術者は、経営業務の管理責任者のように地位(役職)が求められていません。
役員という地位は、経営業務の管理責任者としても、専任技術者としても認められます。つまり、本店(主たる営業所)に常勤する役員が経営業務の管理責任者の要件も満たし、一定の国家資格を有していて専任技術者の要件も満たしている場合は、経営業務の管理責任者にも専任技術者にもなれるということです。そして、兼務が可能であるということは国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」にも記載されています。
ただし、兼務ができるのは、営業所が同一の場合のみです。本店で経営業務の管理責任者となっていれば、本店の専任技術者を兼務することはできますが、常勤性の問題から他の営業所の専任技術者を兼ねることはできません。
経営業務の管理責任者と専任技術者の兼務をお考えの際はいろいろと制約がありますので、慎重確認しましょう。
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